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1998年10月23日日本ロシア語文学会ワークショップ発表原稿

 

ロシアのパソコンソフトの現状

(有)テクノウェア 藤田


 

ロシアのハードウェアはDOSマシン及びWindowsマシンが主流です。Macintoshは価格が高いために日本以上にメニシェビキです。

今回はWindows用のソフトの中からロシア語を使う日本人にとって有用なものを中心に説明いたします。

取り上げる分野は

1. ワープロ

2. 電子辞書

3. OCR(自動文字認識)ソフト

4. 翻訳ソフト

の4つとします。

 

先ずワープロに関してはMicrosoft Wordがほとんど国際標準のようになっていますが、ロシアにも日本の一太郎のように国産のワープロが存在します。それが有名なLexiconです。これはスペリングチェックまで備えたDos版のワープロとしては完成度の高いソフトです。

また このソフトはデフォルトでグラフィックモードで動作するのでシステムがロシア語化されていなくても使用することができます。 つまり日本語環境でも使用できます。これは後程 日本語環境でお見せいたします。

ロシアでは386のような古いDOSマシンも大事に使われているのでまだまだLexiconは使われています。ロシア語はDOSとWindowsでコードが異なるのでLexiconで作成された文章を読むために日本語環境にLexiconをインストールしておくと便利です。

LexiconにはWindows版も販売されています。MS-Wordに比べて価格が安いというのが唯一のメリットです。日本語環境では使用できません。

 

Windows環境でメジャーなワープロはやはりMicrosoft Wordです。

Microsoft Wordの文書校正機能等を強化するソフトとしてORFO、Lingvo Corrector等があります。

ORFOの場合、以下の機能をMS-Wordに付加します。

1. 文書校正機能(スペリングチェック、文法チェック)の強化

2. 要約機能、ハイフネーション機能の強化

3. 露露辞典の追加

4. 検索、置換機能の変化形対応

スペリングチェックの場合オリジナルの機能では単語登録は変化形も一つ一つ行わなければなりませんがORFOの場合、変化形も合わせて一括登録できます。

露露辞典の場合、文中の単語を選択してボタンをクリックすることによって辞書引きが実行できます。

検索、置換機能は標準のものに加えてORFOオリジナルの変化形に対応した検索、置換メニューが編集メニューに追加されます。つまり「новый」という単語を検索したとき 、 文中の「Новые」や「НОВОГО」も検出され、これを「старый」に置換すると、変化形に応じて自動的に「Старые」や「СТАРОГО」に置換されます。

 

電子辞書もMS-Wordとの連携ができるものがあります。MultiLexの場合 MS-Wordの文書中の単語を選択してボタンをクリックすることによって英語及びロシア語の辞書引きを行うことができます。

最近の辞書ソフトは音声機能付きのものが多くありますが販売対象がロシア人のため音声出力は英語の単語に限られています。

 

OCRソフトとしてはCuniForm,FineReader等があります。Macintosh用はMacTigerがロシアで唯一のOCRソフトです。

CuneiFormの場合、最も相性のよいスキャナはHewlett Packard社製ですが、その他のものでもTWAIN対応であればCuneiFormから直接スキャン可能です。

また、多くのグラフィックファイルフォーマットに対応しているので書類のスキャニングだけをまとめて行っておく方法であれば全てのスキャナが適用可能です。認識した結果はワードボタンのクリックにより、MS-Wordの文書として直接出力することができます。

ショートカットバーにより直接自動認識を行うことも可能です。

 

機械翻訳ソフトとしてはPROMT, Sokratがあります。

文学作品の翻訳には使えませんが技術翻訳の下訳及びロシア語のわからない人が概要を理解するという用途には使用できます。その際、用途別の特殊辞書は必須です。PROMTの製造元でも数十種類の特殊辞書を販売しています。

PROMTの姉妹製品でWebTranSiteというソフトがありますがこれはMS-WordやIE4.0, Netscape Navigator等のブラウザから必要な文章を直接ドラッグ&ドロップすることによって翻訳結果がすぐに得られるというものですが、これについても特殊辞書は重要です。またこれらはPROMTと共通のものが使用できます。

 

次に、これらのソフトを日本語環境で使用した場合についてご説明いたします。

 

ロシアのソフトが日本語モードで使用できるか否かはいくつかの例外を除いてメニュー及びダイアログが英語で表示されるか否かによります。

メニューがロシア語の場合、日本語環境では文字化けして使えません。

ロシア国内で販売されているものは通常ロシア語メニューなのですがメーカーが海外向けに販売しているものを使えば大体日本語環境でも使用可能です。

 

Lexiconは先ほども申しましたように日本語環境でも使用可能です。

Windows用Lexiconはファイル名にロシア語のものがあるので日本語環境ではインストールできませんがロシア語環境でインストールしたものを日本語環境で起動することは可能です。ただし、メニューダイアログのいくつかは文字化けするので使用できるレベルにはないと考えるのが無難でしょう。

 

ロシア語版MS-Wordは当然のことながら日本語環境では使用できませんが日本語版MS-WordにORFOをインストールすることにより機能限定付ながらロシア語の文章校正機能等を使用することができます。(最新バージョンのORFO5.0をOffice97にインストールする方法に関しては「日本語Windows 95/98でロシア語のスペリングチェック、ハイフネーションを行う方法 (その3)」を参照)

スペリングチェック、文法チェックの文書校正機能については正常に動作します。

類義語辞典についても同様に正常に動作します。

ORFO要約の作成機能はロシア語版の実行結果とは異なっているのでうまく動作していないようです。

ORFOの変化形に対応した検索・置換機能は正常に動作しません。

露露辞典はボタンクリックで起動しますが選択された単語の検索は正しく行われません。表題部に直接ロシア語を入力することによって検索が正しく行われます。

他の電子辞書プログラムについても同様な現象が見られます。

 

OCRソフトCuneiFormは英語版をインストールすれば日本語環境でも問題なく使用できます。

MS-Wordへの出力機能も問題なく実行できます。

 

翻訳ソフトPROMTもインターナショナルバージョン(英語版)をインストールすることによって日本語環境で問題なく動作します。(後日、詳細チェックの結果PROMTは日本語環境では使用できないことが判明しました。旧バージョンのSTYLUSは日本語環境でも使用できますのでこれも並行して販売いたします。)

WebTranSiteはクリップボードを経由してデータをやり取りするため日本語環境ではキリール文字を日本語化してしまうためうまく作動しません。

 

以上、大急ぎではありましたがロシア語を扱う日本人にとって有益と思われるロシアのソフトを紹介させていただきました。